映画「葛城事件」：あらすじ、ネタバレ、感想
あらすじ
「その夜の侍」の赤堀雅秋監督が手掛けた映画「葛城事件」は、無差別殺人事件を起こした加害者青年とその家族、そして加害者と獄中結婚した女性の壮絶な人間ドラマを描いた作品です。
主人公は、金物屋を営む葛城清（三浦友和）。妻・伸子（南果歩）と2人の息子、保（新井浩文）と稔（若葉竜也）と共に、理想の家庭を築き上げてきたはずでした。しかし、清の強い支配と抑圧は、徐々に家族を蝕んでいきます。
長男の保は、会社をリストラされたことすら言い出せず、清に責められながらも従順な態度を崩しません。一方、アルバイトが続かず清から叱責され続けてきた次男の稔は、ついに理不尽な思いが爆発し、8人を殺傷する無差別殺人事件を起こしてしまうのです。
死刑判決を受けた稔は、死刑制度反対を訴える星野（田中麗奈）と獄中結婚することになります。葛城家は崩壊の危機に瀕しながらも、それぞれの葛藤と苦悩を抱えながら模索していく様子が描かれていきます。
ネタバレ
以下、「葛城事件」のネタバレを含みます。
-
稔が無差別殺人事件を起こした理由は、長年父親から受け続けてきた抑圧と支配への反発でした。
-
獄中結婚した星野は、稔の事件をきっかけに死刑制度について考え始め、葛城家の人々と交流していく中で、家族の再生を願いながらも葛藤を抱えていきます。
-
葛城家は、稔の事件後、マスコミの追及や周囲の差別などに苦しみながらも、家族としての絆を模索していきます。
-
映画のラストは、死刑執行の日を迎え、葛城家の人々がそれぞれの思いを胸に、稔との別れに直面するシーンで締めくくられます。
感想
「葛城事件」は、家族の崩壊と再生をテーマにした衝撃的な作品です。三浦友和をはじめとする実力派俳優陣の演技は圧巻で、観る者を圧倒します。また、死刑制度や家族の在り方など、様々な社会問題を考えさせられる作品でもあります。
この映画は、家族とは何か、そして人間として生きる意味とは何かを問いかける重厚な作品です。重いテーマを扱っていますが、家族の絆や希望の光も描かれており、観る者に深い感動を与えてくれます。
映画「葛城事件」詳細なあらすじと解説
1. 葛城家、崩壊への序章
「葛城事件」は、ある地方都市で起きた無差別殺人事件とその加害者家族の壮絶なドラマを描いた作品です。主人公は、金物屋を営む葛城清（三浦友和）。美しい妻・伸子（南果歩）と二人の息子、保（新井浩文）と稔（若葉竜也）と共に、念願のマイホームを建て、理想の家庭を築き上げていました。
しかし、清の強い統率力と厳格な教育は、次第に家族を圧迫していきます。長男・保は会社をリストラされたことを言い出せず、次男・稔はアルバイトが長続きしないことを責められ、それぞれに苦悩を募らせていきます。
2. 無差別殺人事件、そして家族の崩壊
そんな中、ある日、稔は突如として8人を殺傷する無差別殺人事件を起こしてしまいます。死刑判決を受けた稔は、獄中で死刑制度反対を訴える星野（田中麗奈）と結婚。一方、事件によって家族の絆は完全に断ち切れてしまいます。
3. 明かされるそれぞれの葛藤
映画では、事件後の葛城家の人々それぞれの葛藤が描かれていきます。
-
清: 息子が犯した罪に絶望し、自暴自棄な生活を送る。
-
伸子: 精神的に追い詰められ、施設に入所する。
-
保: 弟の罪悪感に苦しみ、心を閉ざしてしまう。
-
星野: 稔との結婚を通して、死刑制度について考え始める。
4. 救いようのない絶望と、それでも残る希望
映画は、救いようのない絶望と、それでもなお残る希望を描き出していきます。葛城家は崩壊し、それぞれの家族は深い傷を抱えますが、それでもなお、彼らは前に進んでいこうとします。
5. 家族とは何か、そして人間とは何か
「葛城事件」は、単なる犯罪映画ではありません。家族とは何か、そして人間とは何かを問いかける深い作品です。観る者に多くのことを考えさせ、心に深く突き刺さる作品と言えるでしょう。
映画「葛城事件」レビュー集：3つの視点から徹底分析
1. 家族崩壊のリアルを突きつける：息苦しさすら感じる圧倒的演技
映画「葛城事件」は、無差別殺人事件を起こした加害者家族と、彼を取り巻く人々の壮絶な人間ドラマを描いた作品です。主人公の葛城清（三浦友和）は、一見理想的な家庭を築き上げた父親。しかし、その裏には、家族を支配し抑圧する強すぎる思いがありました。
三浦友和演じる清の、息苦しさすら感じる圧倒的な演技は、観る者を一気に作品世界へと引き込みます。また、南果歩、新井浩文、若葉竜也ら実力派俳優陣が演じる葛城家の人々も、それぞれ深い葛藤を抱え、苦悩する姿がリアルに表現されています。
特に、次男・稔役の若葉竜也は、長年父親から受け続けてきた抑圧と支配に耐え切れず、無差別殺人事件を起こしてしまうという難しい役どころを熱演。観る者の心をえぐりとるような狂気と、どこか哀愁漂う演技は、圧巻の一言です。
2. 死刑制度と家族の在り方：考えさせられる深いテーマ
「葛城事件」は、単なる家族崩壊を描いた作品ではありません。死刑制度や家族の在り方など、様々な社会問題を考えさせられる深いテーマも盛り込まれています。
死刑囚となった稔と、死刑制度反対を訴える女性・星野（田中麗奈）との獄中結婚は、死刑という命の重さを改めて考えさせられます。また、葛城家が事件後、マスコミの追及や周囲の差別などに苦しみながらも、家族としての絆を模索していく姿は、家族とは何か、そして人間として生きる意味とは何かを問いかけます。
3. 衝撃的なラスト：観る者の心を揺さぶる余韻
映画のラストは、死刑執行の日を迎え、葛城家の人々がそれぞれの思いを胸に、稔との別れに直面するシーンで締めくくられます。衝撃的なラストシーンは、観る者の心を深く揺さぶり、長い余韻を残します。
映画「葛城事件」詳細考察
舞台は大阪。金物屋を営む葛城清（三浦友和）は、美しい妻・伸子（南果歩）と二人の息子、長男・保（新井浩文）と次男・稔（若葉竜也）と共に、念願のマイホームを建て、理想の家庭を築き上げてきた。しかし、清の強い支配と抑圧は、次第に家族を苦しめていく。
長男・保は、父親の期待に応えようと努力するが、会社をリストラされたことや対人関係の悩みを打ち明けられず、苦悩を抱えていく。一方、次男・稔は、アルバイトが長続きしないことを父親から責められ、絶望と虚無感に支配されていく。そしてある日、稔は突如として無差別殺人事件を起こしてしまう。
死刑判決を受けた稔は、獄中で死刑制度反対を訴える女・星野（田中麗奈）と出会い、結婚する。一方、事件で息子を失い、精神的に追い詰められた伸子は、現実逃避を続けていく。
主要な考察ポイント
-
家族の崩壊と再生： 葛城家の崩壊は、清の抑圧的な支配と家族間のコミュニケーション不足が原因である。事件後、残された家族はそれぞれ苦しみながらも、再生への道を模索していく。
-
加害者と被害者の心理： 無差別殺人事件を起こした稔は、絶望と虚無感に支配されていた。一方、被害者遺族は、深い悲しみと怒りを抱えながらも、前に進んでいこうとする。
-
死刑制度： 本作では、死刑制度について様々な視点から考察される。星野の死刑制度反対の主張、清の死刑執行への葛藤、そして稔自身の死刑への向き合い方が描かれる。
-
家族の絆： 事件によって引き裂かれた葛城家だが、血の繋がりを超えた絆で支え合い、再生していく。
